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コラム・素領域

2018年9月7日号

素領域

先日開催された「イノベーション・ジャパン2018」では、数多くの興味深い研究成果が展示されていた。論文データなどからは国際競争力の低下が叫ばれているが、こうしたものを見ると日本の底力と可能性を感じられる▼明治薬科大学の井上元基助教は、ブドウ種子由来のポリフェノールを原料にした貴金属吸着剤を開発した。もともとは手術などで使う生体用接着剤を作ろうと思ってポリフェノールを架橋したりしていたが失敗し、結果として貴金属吸着剤ができた▼群馬大学の奥寛雅准教授は、寒天で再帰性反射材を開発した。バースデーケーキなどの料理にプロジェクションマッピングをするための位置決めに使うことができる。ガラスやプラスチックでは誤って食べる可能性があるためだ。実際に試食するとうっすらと甘い寒天だった▼工学院大学の位野木万里教授は、要求仕様書などの技術文書を読み解くソフトウェアを開発。従来、人手で行っていた技術文書のチェックを効率的に行うことができるが、自分の投稿論文をかけると表記ゆれが指摘された。研究費等の申請書チェックにも使えそうだ▼こうした研究成果は非常にユニークで、それぞれ興味深いものだが、他分野の研究者との相互作用によって、さらに発展することが期待できる。そういう意味で、こうしたイベントは学会等とは異なる出会いの場だといえる▼従来の常識を覆すような新たな発見は、その時代においては非常識であることが多い。白川英樹博士がノーベル賞受賞業績である導電性高分子の研究をやっていた当時、学会等からは変人扱いされていた。そんな研究ができたのは、研究現場に今よりもゆとりがあったからだ。最近の若手研究者を見ていると、周りから評価されやすい研究にばかり取り組んでいる気がする。変人を生み出す環境が今、求められている。

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