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コラム・素領域

2024年4月19日号

素領域

いま生成AIに多くの関心が集まり、様々な話題が報道されている。一方、人工知能というとSF映画などに登場する、人型ロボットに優れた人工知能を持たせた、人と同じような高度なヒューマノイドロボットのイメージが浮かぶ▼しかし、こうしたAI搭載ロボットの研究はあまり進んでいないようだ。その理由は、ロボットに搭載する賢いAIの設計法が未開発だったからである。さらに、そうしたロボット搭載用AIの研究開発を行うための実験環境が未整備だったことがある。そのような状況を背景に、けいはんな学研都市のATR(国際電気通信基礎技術研究所)は、ヒューマノイドロボットに搭載するAIの研究環境を今年3月に整備した▼世界初の試みとして、人がスケートボードなどのスポーツを行う時の脳波・筋電・モーションキャプチャなどのデータを収集し、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行・連携して行える「ロボットスケートパーク」と呼ぶ環境である▼NEDO委託の「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」で、ATRが敷地内のロボット実験棟内に整備したもので、これを活用し、実環境で人と共に学びながら協働作業ができるAI搭載ヒューマノイドロボットの実現に向けて、ATRは京大、産総研と共同研究を進める▼搭載用AI「サイボーグAI」の基本技術開発と、そのサイボーグAIの持つ俊敏な身体制御能力(身体性)と瞬間的な判断能力(実時間意思決定能力)を評価する研究が目標である▼ぜひとも、人を凌駕してひたすら進歩するだけのAIではなく、この事業方針にある、”人と共に進化する”AIを開発し、人を支えるための賢いロボットを実現する研究を進めてほしいと思う。

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