熱中症対策を強化した改正気候変動適応法の今年4月からの施行により、自治体は公共施設や民間施設を指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として指定できるようになった。これは同法により熱中症特別警戒情報が発表された場合に暑熱避難施設として開放が義務づけられた施設で、環境省の定める条件を満たす施設が指定対象となっている▼例えば東京都環境局は5月末に都内のクーリングシェルターもしくはクーリングスポットを公開している。遅いところでは午後10時頃まで利用できるようだが、大抵は施設の閉館までなので注意してほしい。他の自治体のWebサイトなどでも指定施設や開放時間が案内されている▼昨年の熱中症警戒アラートの都内で初めての発表は7月10日だったが、今年は早まるかもしれない。気象庁は、今年の6月から8月の気温は平年より高いと予想。6月10日には、熱帯域の海洋変動監視により昨年春から続いていたエルニーニョ現象の終息と、今年は秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性(60%)の方が平常の状態が続く可能性(40%)より高いことを発表した。ラニーニャ現象が発生すると西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し同地域で積乱雲の活動が活発化することで、日本の夏季は気温が高くなる傾向がある▼埼玉県が2018年に実施した日傘の効果検証実験では、日傘を使うことで日射を遮蔽でき、暑さ指数(WBGT)を測定したところ、日傘なしと比較して1・3~1・7度Cの低下効果を確認。その効果は日傘の性能によって異なることも指摘している▼UVカット・遮光・遮熱の機能をもった晴雨兼用傘もたくさん市販されている。性別に関わらず少なくとも日本の夏には日傘が必要なのだろう。男性も「軟弱だ」などと思わず命を守るために使用をご検討ください。
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