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コラム・素領域

2024年9月6日号

素領域

とにかく今年の夏も暑い。気象庁の発表によれば、今年7月の日本の平均気温は、同月の平均気温基準より2・16度Cも高く、1898年の統計開始以来、最高であったという▼その暑さは8月に入ってからも衰えず、35度C以上の猛暑日が長く続いた。地球温暖化の影響だと考えられるが、これが海面水温の上昇にもつながっている。気象庁の発表などによると、日本近海の今年の海面水温は平年より高い状態が続いている。特に日本の東や南の海面水温が高い▼日本のはるか東から日付変更線付近、南シナ海、フィリピンの東、マリアナ諸島近海、ミンダナオ島の東からニューギニア島の北、赤道域の日付変更線付近などである▼こうした暑さは我々の生活に様々な影響を及ぼしている。熱中症をはじめ、電力エネルギー供給、野菜・米などの農作物の収穫、海産物の水揚げ等々である▼真夏の土用の丑の日に食べるウナギも高騰してしまい、近年はおいしいかば焼きを食べる機会が減った。庶民が好むサンマも水揚げ量が減り、市場の店頭では小さなものしか見かけなくなった。日本人が好んで食してきた伝統の魚が次々と店頭から姿を消している▼そんな魚食危機を、回転寿司チェーン「くら寿司」発表のニュースレター8月号が伝えており、ここ5年間で獲れる魚種が大きく変化しているという漁業関係者の話などを紹介している▼そうしたことを考えると、あと10年もしないうちに寿司ネタも大きく様変わりし、近海物は姿を消して外国産や海産物以外のネタが並ぶようになってしまうのではないかと危惧する。魚好きの人間にとっては、なんとも寂しいかぎりだ。

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