科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 2018年9月28日号

コラム・素領域

2018年9月28日号

素領域

あることにひどく夢中になっているのを「三度の飯より好き」という言葉で表現するようだが、これは、それに匹敵する状態にあることを示す調査結果だ▼ITセキュリティ企業のカスペルスキーが行った、グローバル意識調査「インターネットへの依存度とオフラインが原因のトラブル」の分析結果である▼調査結果では、回答者の29%が「スマホなどインターネットに接続している機器なしで外出するよりも、空腹時に食べ物がない方がまだ良い」と回答したという▼また「公共の場で服を着ない方がまし」と回答した人も23%あった。これらの傾向は日本では世界の数値より高く、食べ物がない方が良いは32%、服を着ない方がましは26%だった▼つまり、回答者はそれほどネットに夢中になった“ネット依存”の暮らしをしているということだ。従って、スマホなどを紛失してネット接続できない状態になると、強いストレスや不安を感じるらしい▼回答者のうち90%が、スマホなどを紛失した場合にストレスを感じると答えており、この結果は、電車や飛行機に乗り遅れること(88%)や、軽度の交通事故に遭うこと(88%)、病気になること(80%)より高い▼確かにネットに接続できない不便さは分かる気がする。しかし、こうした傾向には何か受け入れがたいものを感じる。それほどネットだけに頼り切っていて大丈夫なのかという思いである▼例えば、大災害や大規模テロなどで通信インフラなどに障害が生じ、全くネットに接続できなくなることは想定外の事態だろうか。否だと思う▼やはり、ネット以外にも暮らしや仕事などの手段を有し、もしもに備えることは大事である。ネットだけに偏らず、人々の暮らしや仕事を安全に保障する、バランスの良い情報社会の構築が求められる。

  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Mail
THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • 購読申込
  • メール