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コラム・素領域

2018年3月23日号

素領域

ハードボイルド小説に出てくる主人公と言えば、ニヒルで孤独をこよなく愛する人物として描かれることが多いようである▼筆者は、この孤独を愛することについて、一人になりたいと思うその気分が好きで、感情がそうさせているのだと思い込んでいた。ところが最近の研究によると、一人になりたいとの感情は遺伝子(孤独遺伝子)がそうさせているというのである。集団が天変地異や重大な感染症などにさらされた時に、孤独遺伝子を持った人間が住み慣れた土地を飛び出して違う場所に行くことで生き残る▼孤独を好む人たちが分散して社会を形成してきたからこそ、人類は生き延びてきたのではないか。新しい土地をどんどん開拓し居住範囲を広げていくために孤独遺伝子が必要だったのではないかという説が提唱されている。孤独遺伝子は、人類のチャンスを広げる可能性を秘めているということが言えそうだ▼一方で、孤独な人たちは社会とのつながりが希薄であるため、寿命が短いとの研究成果もある。ただ専門家は「身体的な幸福度の半分は遺伝で決まるとされていますが、タバコを吸う人でも長生きの人がいるように、残りの半分は行動とか環境によって変わります。寿命も一つの要因で全てのことが決まるわけではありません」と指摘する▼孤独遺伝子を持つ人がいなければ、世の中こんなに発展はしなかったとすれば、種の保存の観点からも大いに貢献していることになる。今後も孤独遺伝子には注目していきたい。

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