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コラム・素領域

2019年1月11日号

素領域

1月3日、中国の無人探査機が月の裏側への着陸に成功した。世界初の快挙で、2013年の「嫦娥3号」による軟着陸に続き2度目の月着陸となる▼中国は「宇宙強国」を目標に掲げ、日本の宇宙予算をはるかにしのぐ莫大な資金を投入して開発を進めている。米国では予算削減が続いており、日本でも毎年涙ぐましい折衝をして予算を獲得している。現在、無人機であれば数十億円程度(ロケットへの相乗りだともっと安い)で小型衛星を宇宙に輸送し、地球を周回させることができるようになった。小惑星リュウグウを探査中の「はやぶさ2」も200億円以下で開発している。しかし初めて挑む研究開発や技術開発にはそれなりの投資が必要だ▼いま人類が再び月を目指す理由。それは50年前に月に到達した時とは異なる。本気で資源を採掘し、さらに遠くの火星などの天体に行く足がかりにしようというものだ▼日本は07年の月周回衛星「かぐや」での探査以来、月探査はしていない。文科省でもその後、検討したが日本独自の計画はできなかった。今回、ようやくJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」の21年度打ち上げが決まった。20年代に4つの段階(SLIMを含め3回の探査)で月探査が進められる▼同年代に米国では月近傍有人拠点計画に加え大型探査機を投入予定で、中国も欧州も月に基地を造る計画がある。しかし日本の月面基地計画はほぼ未定だ。南極のように遅くに進出したために過酷な場所にしか基地を造れないといった事態になるのは避けたいところだ。

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