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コラム・素領域

2017年10月6日号

素領域

この素領域で以前、スマートフォンが普及し過ぎてしまい、街中などで歩きスマホの迷惑ぶりが目立ち、何とかならないかという話を書いた▼そうしたら今度は、米国の南カリフォルニア大学が、スマホが親子関係の悪化を招いているという調査結果を公表した。日本のティーンエージャーと親を対象に、スマホの使用習慣と、それに関する態度を調査したものである(本紙前号で紹介)▼それによると、子も親もスマホなどに四六時中没頭していて、互いに対話や気づかいが減り、親子関係が悪くなっている原因になっていると分析している▼携帯電話機は、最初、どこからでも電話できる便利なコミュニケーションツールとして開発された。しかし、今のスマホはパソコン並みの高性能な情報端末へと進化し、利用できるサービスやアプリも豊富にある▼もはやコミュニケーションツールというよりは、様々な情報を取得したり機器の管理・操作をしたりゲームや動画などを楽しんだりと、生活や仕事などに欠かせない身近なツールになっている▼これは、最先端の科学技術を駆使した傑作ともいえよう。しかし、それなのに何か寂しい気がする。スマホはそれほどに高度な、その名の通りのスマートフォン(賢い電話機)である。しかし、それが普及した結果が世の中に起こしていることは、少しも賢くないのだ。なぜだろうか▼この調査者の一人、ジェームス・ステイヤー氏は「もはや日米だけでなく、グローバルな問題。皆が真剣に考える必要がある。教育上の問題でもある」と述べ、人間社会にとって重要な問題だと指摘した▼この問題は、こうした機器やサービスを開発・提供して利益を得る企業側にも責任がある。使う側、提供する側がともに問題意識を持って考え、スマホを心地よく賢く使う術を見いだしていく必要がある。

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