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コラム・素領域

2017年9月22日号

素領域

先日、伊豆大島を一周する道路を自転車で走る機会があった。島の生い立ちをありのままにいかした強烈なアップダウンがある全長約45㌔㍍のコースで、昨年はアジア自転車競技選手権が開催された。伊豆大島は2010年にジオパークに認定されている。走っていると、あちこちで火山島であることに気づく。宿の庭には巨大な火山弾が置かれていたり、噴石防御のためのかまぼこ状のシェルター(避難壕)を見かけた。また、一周道から眺められる波浮港は元々は爆裂火口だという▼18世紀の大噴火で最高峰の三原山が作られた。南西部の一周道沿いにあるバウムクーヘンのような全長630㍍の地層大切断面は、緩やかに波打っており、島の噴火の歴史が刻まれている。この自然は、農作物や漁業資源、温泉など様々な幸をもたらしている。しかしながら三原山は活火山であり、最近では1986年に噴火し、迫り来る溶岩流から全島民が無事避難した記録はノンフィクションのドラマになった▼先日、また北海道を越えてミサイルが通過した。Jアラート(全国瞬時警報システム)により、対象地域では個人の携帯電話、自治体の防災無線から警告が発せられた。本来、Jアラートは、対処に余裕がない火山噴火や地震等の自然災害についての情報も発出するシステムだ。例えば、急な噴火についても衛星データ等を利用して変化を感知して注意すべき情報を迅速に提供、早めの避難を促して被害を最小限にする役割がある▼しかし現状では、情報が出た後、どうすればいいかと戸惑う人が多く見受けられる。その迷いが避難開始を遅くするかもしれない。情報をちゃんと活用するためにも、普段の防災訓練以外にも各種災害について様々な対処法を想定し、それを家族や友人、所属組織等と共有しておくことが重要だろう。

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