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コラム・素領域

2017年5月12日号

素領域

国は、東京都や経済団体、企業などと連携して、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた「働き方改革」の運動を推進することとし、今年から7月24日を「テレワーク・デイ」として位置づけ、企業や団体、官公庁の社員や職員が、その日にテレワーク(情報通信技術を利用した柔軟な働き方)を一斉実施するよう呼びかけていく▼これは、2012年のロンドン五輪・パラリンピックの際に、交通混雑でロンドン市内の移動に支障が生じると予測されたことから、市内の企業の8割がテレワークを導入したという成功例にならって、日本でも実施することにしたものだという▼テレワークを普及させようという取り組みは以前から進められてきたが、日本ではなかなか進展しない状況で、五輪・パラリンピックという多数の国民が目を向けるビッグイベントを機会に、普及をはかろうというのはいい考えである▼しかし「働き方改革」というなら、人口過密の首都圏の通勤実態にも目を向けてほしい。いまや首都圏では通勤時間1時間は当たり前で、2時間以上の長時間通勤も珍しい話ではない。これを理想の30分に改善できたら、時間の有効利用となり、大きな働き方改革になる▼ところで、この問題は東京ばかりに政治や経済、文化、人口などが集まりすぎる一極集中の弊害だが、国はこれを是正するため「地方創生」の政策を進めている。うまく進めば、首都圏の人口過密状態が緩和され、ひいては過酷な通勤実態の改善にもなる▼これは、東京五輪・パラリンピックのような短期目標では達成が難しい政策だと思うが、一方で「働き方改革」につながる政策でもある。その成功のためにも、一極集中是正を目指した「地方創生」の加速が必要である。

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