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コラム・素領域

2019年2月15日号

素領域

沖縄について、どのようなイメージをお持ちだろう。東シナ海と太平洋に挟まれた日本列島の南西端に位置し、面積的には東京都と同じくらいである▼何といっても青い空と海、ほぼ全域が亜熱帯気候で、1年を通して温暖な気候に恵まれ、常夏に近い恵まれたところといってよいかもしれない。そして健康・長寿の県であること。ほかにもあるだろうが、こと健康面に関しては、それを裏付けるデータが発表されている。厚生労働省がまとめた「全国がん登録の概要」によると、日本でガンになりにくい県として沖縄県がナンバー1になっているのだ▼概要では、人口10万人あたりのガン発生率を都道府県別に表している。それによると沖縄県は356・3人、最下位の長崎県の454・9人と比べて、100人以上という有意な差があるのだ。これはやはり沖縄が持っている独特の雰囲気が作用しているのだろうか。のんびりしていて、あくせくしないという印象を受けるのは、日々太陽光が燦々と注がれる気候によるところが大きいのかもしれない▼専門家も、太陽光を浴びる時間が多くなればなるほど脳内のセロトニンの分泌が活発となり、その結果ガンに対する免疫力の維持につながっているのではないかと指摘する。セロトニンは、体内で特に重要な働きをしている神経伝達物質の一つで、人間の睡眠や食欲に大きな影響を与え、ストレスによるイライラから心身の安定を守る効果をもたらすものだ。食べ物面でも沖縄の優位性が裏付けられる。胃ガンの発生率が全国で最も低いのは、塩分よりも糖分の摂取を好む傾向がプラスに作用しているからであろう▼他の都道府県でも、気候を変えるのは不可能としても、心の持ち方、食事の面などでは参考になることが多々あるのではなかろうか。

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