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コラム・素領域

2019年2月22日号

素領域

様々なメーカーが製品化した電話機やファクシミリ、PBX、ルーターなどの最先端情報通信機器が、互いにうまくつながって通信できるかを確認して保証する活動を、長年展開しているHATS推進会議という組織がある▼こうした機器は国際標準に従って製造されるが、各メーカーは独自の技術などを開発し、他社製品より市場優位性のある特徴ある製品に仕立てるため、同じ電話機やファクシミリでも、他社の異機種とうまくつながらない場合がある▼しかし、通信というのは互いにつながりコミュニケーションができて、初めて成り立つものである。そのため、異機種同士が問題なくつながるかどうか、相互接続性を確認する作業が必要になる。そうした観点から活動を続けているのがHATS推進会議である▼HATSは1988年8月に発足して延々と活動を続け、昨年で30年が過ぎた。今年で平成が終わるが、HATSも、平成という一時代とほぼ時を同じくして活動してきたのかと思うと、よく続いていると感心する▼また、発足当初から今日まで、東大名誉教授の齊藤忠夫氏が30年あまりもずっと議長を続けてこられてきたことにも感銘を受ける。こうしたHATSの30年間にも及ぶ活動が評価され、標準化推進団体の(一社)情報通信技術委員会(TTC)から感謝状が昨年贈られた▼その活動は、表立ってではなく、今日の高度な情報通信社会を裏から支える地道なものだが、役割は大変に重要である▼情報通信分野は、インターネットからブロードバンド、さらに今後はIoT、AIなど一層の発展が見込まれているが、華々しい発展も、こうした地道な活動があってこそ成り立つのだと思う。

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