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コラム・素領域

2017年3月10日号

素領域

電波の最大出力が大きくて、医療機器に与える影響が生じやすい第2世代携帯電話サービスが平成24年7月に終了したことなどを踏まえ、平成26年8月に、医療分野における携帯電話等の使用に関する指針が改訂された▼これによって、それまで使用が原則禁止されていた病院などの医療機関でも、携帯電話使用が原則認められることとなり、院内における携帯電話使用が可能になった病院は急増した▼総務省によれば、全面利用不可の病院は平成17年には51・6%もあったが、平成27年ではわずか4・3%に減少。全面利用可26・4%と一部利用可69・2%を合わせ、95・7%の病院内で携帯電話が使えるようになった▼ところが利用が促進され、トラブルも増加した。総務省のアンケート調査結果では、4分の1の病院でトラブルが発生している。改訂指針で定めている、一般向けと医療従事者者向けの利用ルールの理解不足や、医療機器に対して定められた電磁的耐性の規制(薬事法)への対策が不十分なことなどが理由だ▼そこで、指針を策定している電波環境協議会が「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」を平成28年8月に作成し、関係機関などへ周知した。今後は、さらに手引きの周知徹底をはかり、手引き内容の拡充やオンライン講習など周知方策の検討も進めていく▼ところで、電波利用の普及促進と安心・安全は相対立するものではなく、ルールを守り定められた対策を講じていれば、トラブルはそれほど生じないはずだ▼運転中の携帯電話利用は道交法で禁止となったが、使用は後を絶たずに死亡事故も起きている。問題は使う人間側にある。指針やルールづくりだけでなく、病院現場での監視や指導など、より実質的な対策も必要なのではないか。

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