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コラム・素領域

2019年11月8日号

素領域

「AYA(アヤ)世代」という言葉を聞いたことがあるだろうか。15歳から30歳前後(欧米では15歳から39歳とする定義もある)の思春期・若年成人を指す用語だ▼この世代に小児や成人と違った逆転現象が起きているという。それは男女によるガンの罹患率である。ガンの発生原因は遺伝子のコピーミスとされているだけに、高齢化が進めば進むほど、加齢によって増えていくというのは当然のことだ。一般的に男性に多い傾向にあるようだ▼ところが、国立がん研究センターと国立成育医療研究センターがまとめた報告書によると、全世代で比較すると、AYA世代に限っては女性が圧倒的に多いことが明らかとなった。AYA世代のガン患者は、女性が76%と多く、男性は4人に1人と少なくなり、全世代の傾向とは逆転しているのだ▼より詳しく見ると19歳以下の女性では5割以下だが、20歳から24歳で6割を超え、25歳以降は8割前後となる。その直接的な原因としては、20歳を超えると増加する乳ガンの存在が大きい。死亡数はこの30年で3倍になり、女性11人に1人が罹患する計算で、10人に1人となるのは目前と危惧されている▼間接的な原因としては、AYA世代は、就学、就職、結婚、出産といった、人生における重要なイベントが続く時期であるだけに、小児や成人とは異なる様々な社会問題に直面せざるを得ないということがあげられる。対策は遅れているのが実情で、ようやく問題意識をもつ医療従事者の取り組みが始まっているところだ▼この問題に対する社会全体としての意識はまだまだ希薄だ。これを変えていくためには、より一層の社会啓発が重要である。

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