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コラム・素領域

2019年11月29日号

素領域

12月1日の世界エイズデーは、世界レベルでエイズ(後天性免疫不全症候群)の蔓延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定した。毎年12月1日を中心として、日本を含む世界各国で啓発活動が行われている▼同疾患はHIVウイルスがTリンパ球やマクロファージ(CD陽性細胞)などの免疫細胞に感染することで発症。感染に伴いこれらが減少することで様々な疾患にかかりやすくなり、定められた代表的な23疾患を発症した時点でエイズと診断される▼社会問題になった80年代の終わりには死に至る疾患だったが、現在では新薬の開発により、早期に治療を開始し服薬を継続すれば健常者とほぼ同じ平均寿命を維持でき、かつパートナーへの感染や母子感染も防げることがわかっている。また日本では未承認だが、暴露前に服用する予防薬も存在する▼一方で、新たな感染者数は日本を含め世界で年々増加。感染から6カ月~10年という長い無症候期を経て発症し、初期症状が風邪によく似ているため、気づかずに感染が拡大している可能性がある。実際に日本では診断は3割が発症後だという▼治療効果で言うと、発症前が明らかに予後が良い。そのため早期診断、早期治療が必要とされている。HIV検査はほとんどの保健所で無料・匿名で受けられる。プライバシーが気になる場合は、遠方でも問題なく、こうした受診は多いという。心配が少しでもあれば、身近な人のためにも早期の検査を検討してほしい。

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