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コラム・素領域

2020年2月7日号

素領域

地球温暖化の影響で今年の冬は暖冬傾向だそうだ。確かに暖かい日が続く印象はあるのだが、だからこそ合間を縫ってやってくる寒い日が問題で、身にしみる寒気が一層こたえる。ついつい縮こまって、外に出るのが億劫になってしまう▼そのような方にお伝えしたい研究結果がある。それが病気、特に認知症の予防にもなるというのだから興味深い。歩き方に目を向けた研究で、とりわけ歩幅がポイントだという▼日本の研究チームが発表した報告によると、歩行動作の中の歩幅を、「広い」「普通」「狭い」の3種類の群に分け、認知機能を調べたところ、最も低下が見られたのが狭い群で、広い群に比べて約4倍も認知症のリスクが高いことが分かった。普通の群と比べても1・22倍高い▼なぜ認知症と歩幅が関係しているかというと、歩幅が脳の状態を反映していて、広ければ脳と足の間の神経伝達が刺激を受け、脳の活性化を促すとされるからだ。日頃、検診に従事している医師は「小走りのようにチョコチョコと歩くような人に脳機能の低下がみられることがあります。歩幅を広くできる人は、重心移動がスムーズで、安定して歩くことができます。これによって脳ばかりでなく、他の健康面でもメリットが期待できます」と指摘する。研究結果から理想的な歩幅は65㌢㍍だそうだ▼筆者のような老人の部類に入るような者にとっては難しいかもしれないが、少しでも、ほんの5㌢㍍でも広くしようと努力すればよいのだ。よく言われているような早足は必要なく、広ければゆっくりでよいというのだからうれしい。これなら通勤や散歩で実行しやすいのではないか。試してみてほしい。

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