厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響で新たにテイクアウトや宅配等のサービスを始める飲食店営業者に向けて、衛生管理の徹底を注意するリーフレットを作成・発表した▼チェック項目としてテイクアウトに適したメニューであるかなど5項目をあげ、食中毒を防ぐため調理者が普段から行っている衛生管理に加えて注意してほしいとしている▼食中毒は細菌やウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などが食品に混入することを原因とした健康被害で、近年の日本では年間約1万5千~2万人の患者が発生している。そのうち細菌を原因とした食中毒は、気温と湿度の上昇により春から秋にかけて増加。特に、腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、O157による食中毒はこの時期発生しやすい▼平成30年に患者が最も多かったのはカンピロバクターで、生の鶏肉の汚染率が他の食肉と比較して極めて高いことが知られている。加熱すれば、中心部の温度が75度C以上・1分以上で死滅するが、残っていれば常温より低温の方が生き残りやすいため冷蔵庫に入れても意味がない。数百個程度の少量菌でも食中毒を起こし、発症後には神経が麻痺するギラン・バレー症候群を起こすことがある▼テイクアウト等は、店内での飲食と比較して調理してから食べるまでの時間が長くなるため、食品内の細菌が増殖することで食中毒を起こす危険性が高まる。食中毒を防ぐには、客側も食中毒を起こしにくいメニューを選び、家の中では放置せずにすぐ食べる必要があるだろう。自宅にいると後回しにできてしまうが、どうぞご注意ください。
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