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コラム・素領域

2020年9月4日号

素領域

消防庁では平成20年から消防機関や医療機関、都道府県の協力により熱中症による救急搬送人数の調査を実施している。今年は6月1日から開始され、10月4日までを予定。8月17-23日の速報値では、1週間で約1万3千人が救急搬送され、多くは軽~中等症だが重症も387人いて、25人が死亡している▼熱中症は、高温環境下で体温の調節機能が破綻するなどして発症する障害の総称と定義され、症状はめまいや大量の発汗等の初期症状から始まり、重症化すると意識障害が起こり、多臓器不全や死に至ることもある。意識がない場合は、そばにいる人がすぐに救急要請し、悪化を防ぐために応急処置を行う必要がある▼環境省と気象庁は今年7月から「熱中症警戒アラート(試行)」を、関東甲信地方の都県で先行実施している。従来気象庁が提供していた高温注意情報を「暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)」に置き換えたもので、検証後に来年から全国で実施される。WBGTは人体の熱収支に着目した指標で、単位は℃。人体の熱収支に影響の大きい、気温、湿度、輻射熱の3要素を取り入れ、28℃を超えると熱中症患者が増加することが知られている。アラートは都県内で1カ所でも33℃以上が予想されると発表される。無料のメール配信サービスもある▼熱中症は子供や高齢者、糖尿病や高血圧などの既往歴がある人は特になりやすい。体調不良など様々な理由で急激に悪化することもある。自覚症状の有無に関わらず、こまめな水分補給などの予防を心がけてほしい。

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