「こんなものがあったらいいな」と思うことはよくあるが、最近感心したのは、本号で紹介している「テレキューブ」である。かつて街中でよく見かけた電話ボックスを少し大きくした、防音型のコミュニケーションボックスである▼内部にはテーブルと椅子、電源コンセントなどを備え、周囲から閉ざされセキュリティの保たれたプライベートなワークスペースが確保できる▼駅や商業施設などの公共の場をはじめ、企業のビルなどに設置されている。さらに東京の丸の内と豊洲に、タブレット端末やWi-Fiなどを備えた「テレキューブWeb会議センター」が試験的に設置された▼外出の途中でちょっとデスクワークしたいとき、一度会社に戻っていては次の用件に間に合わない。でも、仕事ができる静かな場所もないというときがある▼そうしたときに「あってよかった」と思うのが「テレキューブ」だ。喫茶店やコーヒーショップなどと違い、周囲を気にせずに電話することもできる。パソコンを他人にのぞかれる心配もない。料金は15分で250円▼新たな「テレキューブWeb会議センター」の「テレキューブ」なら、パソコンを携帯していなくても、備え付けのタブレット端末が使え、Web会議に外出先からでも参加できる▼新型コロナウイルス感染拡大でテレワーク利用が進むが、自宅にいると、周囲が騒がしくてWeb会議に参加できない、学生の就職活動のWeb面接でも集中できないなど、新たな問題も出てきており「テレキューブ」へのニーズは増している▼ウィズコロナ、アフターコロナで「デジタル社会」が盛んに喧伝されるが、デジタル化を進展させるには、デジタル技術そのものだけでなく、それをうまく活かす、こうしたサービスやアイデアも重要である。
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