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コラム・素領域

2020年11月13日号

素領域

新たに発足した菅政権が目玉とする「デジタル庁」新設などのデジタル改革推進。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に日本が世界的潮流に乗り遅れないよう、社会のデジタル化を加速させる改革である▼省庁や自治体の縦割りを打破して行政のデジタル化を進めるほか、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、全小中学生に1人1台の情報端末の導入を進めるなどのオンライン教育拡大、テレワークの推進などを掲げている▼これまでの政権も同様な施策を掲げてきて、導入が進まなかったものが多いので、今度こそぜひとも進展させてほしいと願う。どこまでDXを加速できるのか、菅政権に大いに期待したいところである▼ただ、もっと基本的なこと。例えば、子供や高齢者、身体障害者などを含めてだれもがデジタル化の恩恵を受けられる社会を実現するため、簡単に使える安価な情報端末やサービスの実現なども重要である▼また、デジタル化のための資金や人材の不足についても十分な支援が必要である。もともと厳しい経営環境にある個人商店や中小零細企業は、情報通信設備に投資する資金や、情報通信システムに通じた人材の不足などから、なかなかデジタル化が進んでこなかった▼小中学校には無料端末の配布などを行っていくというが、教育現場では情報通信システムの運営を担う人材がいないという指摘もある。教師だけでは対応できないのが実情のようである▼政府のデジタル改革では、だれひとり落ちこぼれないようなデジタル化を進めるとしているが、こうした問題も、どうカバーして社会全体のDXを推進していくのか▼近年のグローバル化は、一部の国・企業・個人の利益にはつながったが、その一方で経済格差は拡大した。同じくデジタル改革が、これらの格差を一層拡大させることのないよう政策を進めてほしい。

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