気象庁は毎年、全国で統一した方法で植物の開花や紅葉、落葉や動物の初見・初鳴を観測する生物季節観測を実施している。植物季節観測として34種、動物季節観測として23種の観測が行われ、季節や気候の変化を捉えることを目的にしていた。残念ながら来年からは植物の6種9現象を残し、その他は廃止されるとのことだが、イチョウの黄葉やカエデの紅葉は継続が決定している▼イチョウやカエデは、標本木全体のうち大部分の葉が黄葉・紅葉に変わった最初の日を黄葉日・紅葉日としている。例年、イチョウの黄葉日は北海道地方と東北地方で10月下旬から、カエデの紅葉日は北海道地方で10月中旬から始まる。日本気象協会によれば、カエデの紅葉は秋の気温が低いと早まり、高いと遅れるため、今年は全国的に平年より遅れるところが多いとみられている▼イチョウが黄葉するのは、葉の葉緑体に含まれるクロロフィル(緑色色素)が気温の低下で分解され、共存している分解されにくいカロテノイド(黄色色素)が残るからであることが知られている。カエデの紅葉では、クロロフィルが分解されて、アントシアニン(赤色色素)が合成される▼東京の昨年のイチョウの黄葉は11月29日、カエデの紅葉は11月27日だった。北海道ではカエデは既に落葉に入っているが、本州の太平洋側では見頃になってきている。Go Toキャンペーンとは言われつつも仕事が忙しければ絵に描いた餅。仕事帰りに少し遠回りでもして散歩がてらイチョウを見に行くのもいいかもしれない。
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