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コラム・素領域

2022年3月11日号

素領域

発生からしばらく経過したが、1月15日に南太平洋のトンガ諸島で大規模な海底火山の噴火が起きた▼噴煙は高度3万㍍に達し、半径260㌔に広がった。その爆音たるや南太平洋全域に及び、トンガから800㌔離れているフィジーの首都スバでも、雷鳴のようにとどろいたという。テレビの映像での印象ではあるのだが、その規模の大きさは想像に余りある。噴火の影響により15㍍以上の津波がトンガを襲い、日本でも岩手県や鹿児島県で1㍍を超える津波が観測された▼この津波だが専門家によると空振(空気振動)により引き起こされたとしている。空振とはあまり聞きなれない言葉であるのだが、火山学では、空気中を伝わる圧力波のことをそう呼んでいる。日本も火山国で、噴火により窓ガラスなどがガタガタ揺れるのが空振によるものだ。通常ならば短時間で収束することが多いのだが、トンガの海底火山の噴火は、規模があまりにも大きく、空振が広範囲にゆっくりと長く伝わった▼空振の進む方向では圧力が高まり、その圧力で海面が押し下げられる。空振が去った後に海面は元に戻ろうとして上昇する。これによって津波が発生したというわけである。全くもって侮れない自然現象だ▼そこで気になるのが富士山の噴火である。直近では1707年に宝永大噴火が起き、火山灰などにより甚大な被害が出たようである。また噴火が起きるとすれば、津波よりは、体が感じることのできる体感空振の影響が問題となるかもしれない。トンガの海底火山による体感空振の詳しい調査報告はまだ出ていないようであるが、日本にとって今後の参考となるだけに注目していきたい。

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