2018.10.12 賞
スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月1日、2018年のノーベル生理学・医学賞を京都大学の本庶佑特別教授(76)とテキサス大学のジェームズ・アリソン教授に授与すると発表した。我々の免疫システムに本来備わるガンを攻撃する能力を刺激することによって、新しいガンの治療原理を確立したことが評価された。アリソン氏は、免疫システムにおいてブレーキとして働くことが知られていたタンパク質CTLA4について研究を行った。この免疫のブレーキを解除することで、免疫細胞が、ガンを攻撃することが可能となることに気づき、このコンセプトをガン患者に対する全く新しい治療法へと発展させた。本庶佑氏は免疫細胞の表面に発現するタンパク質PD1を発見した。その機能を注意深く解析した結果、そのタンパク質も免疫のブレーキとして機能するが、アリソン氏が研究したタンパク質とは異なる作用機序を示すことを明らかにした。本庶氏の発見に基づく治療法は、小野薬品工業から免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(ニボルマブ)として上市され、極めて高い効果を示している。
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