2020.01.10 その他
【はまぐち・みちなり】1975年名古屋大学医学部医学科卒業、80年博士課程修了。84年名古屋大学医学部附属病態制御研究施設助教授、85年米ロックフェラー大学分子腫瘍学講座研究員、93年名古屋大学医学部附属病態制御研究施設教授、2005年大学院医学系研究科長・医学部長、09年名古屋大学総長、15年から現職。
日本の抱えている様々な課題を克服するためには、人を育てていくための戦略と行動が重要だ。新春インタビュー第2弾では、科学技術振興機構の濵口道成理事長から、日本の課題と新たに創設する創発的研究についての考え方などについて、お話を伺った。
これまでの多くの議論は、大学の運営費交付金が減って困っているということに終始していました。経済活動に影響を与えることが大学から生み出されていることを社会が認知すれば、もっと大学への支援も投資も増えるはずです。これを定量的に証明する必要があります。例えば、赤崎先生と天野先生が発明した青色発光ダイオードは、2005年時点で3・5兆円の経済効果があり、本庶佑先生のオプジーボは単年度で8000億円の売り上げがあります。さらに青色発光ダイオードは、単なる経済効果を超えて、社会を変えた。光のない15億人のところにエネルギー消費が少ない灯りを届けた。この世の中を大きく変えた成果が大学から生まれた。また本庶佑先生のオプジーボがなければ、多くの人がガンで亡くなっていたでしょう。日本の大学が衰えていくと、そういうものがなくなってしまう。
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