2021.01.29 研究・成果
愛媛大学プロテオサイエンスセンターの山中聡士特定研究員、澤崎達也教授、東北大学大学院生命科学研究科の田村宏治教授、名古屋大学大学院生命農学研究科の鈴木孝幸准教授、名古屋工業大学大学院工学研究科の柴田哲男教授らの研究グループは、コムギ無細胞系を用いた網羅的な相互作用解析からサリドマイド催奇性に関わるタンパク質として新たにPLZFを見いだし、サリドマイド催奇性の分子メカニズムを明らかにした。副作用を軽減した新たなサリドマイド誘導体の開発への大きな貢献が期待できる。
サリドマイドは、半世紀以上前に妊婦の睡眠導入剤として世界中で使用された薬剤だが、服用した妊婦から生まれた胎児の四肢に重篤な催奇性を示したことから、サリドマイド薬禍といわれるほどの世界規模の薬害問題を引き起こした。その後、ハンセン病や多発性骨髄腫に対する薬効が認められ、現在、サリドマイドやサリドマイド誘導体(レナリドミドとポマリドミド)は厳格な安全管理のもと、多発性骨髄腫などの血液ガンに対する治療薬として年間約1兆円の規模で使用されている。
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