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コラム・素領域

2017年11月17日号

素領域

厳戒態勢の中、トランプ米国大統領が来日したが、日米首脳の会談の内容よりも、その動向や安倍首相との蜜月ぶりに注目が集まっていたようだ。首脳ワーキングランチや会談では、来年3月に日本で開催する第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)に触れ、宇宙探査分野における協力を推進することが確認された。米国では、トランプ政権になってから宇宙探査に積極的に取り組み始めた印象がある▼米国政府は10月にナショナル・スペース・カウンシルで、再び米国宇宙飛行士を月に、それを足がかりに火星を目指すことを宣言している。月の有人探査については前世紀と異なり、産業界や国際パートナーと連携を強化する方向を打ち出している。莫大な宇宙開発予算を一国では確保できない現状もある一方で、多極で運用している国際宇宙ステーション(ISS)の成功が影響しているのかもしれない。日本でも有人宇宙探査や科学探査は、国際協調で行うとしているが、今後の方向性がしっかり示されているわけではない。もちろん、SLIM(小型月着陸実証機)やMMX(火星衛星探査計画)という野心的な探査計画もあるものの、日本の宇宙探査計画の全体像はいまだに見えない。ロシアでは有人の月探査計画、欧州でも米露と協力した月や火星探査の計画などを長期的な視野で考えている。中国もしかりだ▼米国が主催した前回のISEFではISS運用期間(2024年まで)延長など重要な決定がなされた。ISEF2では、主催国である日本は、各国が興味を示して共に計画を進めたいと考えるような魅力的な今後の宇宙探査計画を打ち出すべきだろう。

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