2025.08.22 研究・成果
萩原正敏特任教授
モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬(オピオイド)は、強力な鎮痛効果を持つため、医療現場で広く使われているが、米国ではその過剰摂取によって年間8万人以上が死亡している。京都大学医学研究科の萩原正敏特任教授、豊本雅靖特定准教授らは、オピオイドとは全く異なる作用機序で働く画期的な鎮痛薬ADRIANAを見いだした。ヒトを含む動物は、生命に危機が及ぶような状況に陥ると、ノルアドレナリンを神経細胞から分泌して痛みを抑えていることを利用して、モルヒネに匹敵する鎮痛作用を持ちながら、依存性や重篤な副作用がないため、その仕組みを利用した。京大医学部附属病院で実施された医師主導治験では非常に有望な結果が得られており、萩原特任教授は「米国で大規模な第Ⅱ相臨床試験を準備している。現在、FDAと相談しているが、来年には実施したい」と話す。
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