世界に伍する規模のファンドの創設など、新たな仕組みづくりを速やかに進めてください--安倍晋三首相は7月16日の総合科学技術・イノベーション会議で、研究大学の基盤を支えるファンドの創設を指示した。ファンド創設やデジタルトランスフォーメーション(DX)の環境整備などを盛り込んだ統合イノベーション戦略2020は閣議決定された。さらにファンド創設は経済財政運営と改革の基本方針2020にも盛り込まれた。具体的な制度設計や規模などは今後の検討課題だが、自民党は10兆円規模のファンド創設を求めている。米国の研究大学の競争力を支えるファンドと同程度のものができれば、運用益で研究環境整備や人材育成などを行えるようになる。
世界の主要大学のファンドは、ハーバード大学が約4・5兆円、イェール大学は約3・3兆円、スタンフォード大学は約3・1兆円などとなっており、米国の大学全体では合計約65兆円のファンドを運用している。またイギリスでも、ケンブリッジ大学が約1兆円、オックスフォード大学が約8200億円と、世界の主要大学では独自にファンドを持ち、その運用益10~20%を使って独自の奨学金や戦略的な研究投資、研究環境の整備などを行っている。各大学が独自予算を機動的に使うことが、競争力を支える基盤となっている。
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