2020.11.27 研究・成果
第2世代向精神薬オランザピン(商品名:ジプレキサ)は、統合失調症の症状を効果的に抑えるために世界中で使われているが、副作用として糖尿病を引き起こす場合もあり、日本では糖尿病患者への投与は禁忌とされている。オランザピン誘発性の糖尿病は、食欲亢進による体重増加が、肥満・インスリン抵抗性を引き起こすという典型的な糖尿病だ。しかし臨床現場では、肥満にならなくても、オランザピンの服用で糖尿病になる症例が報告されていた。
京都大学大学院理学研究科の森和俊教授、蜷川暁特定助教らの研究グループは、オランザピンが、小胞体内でプロインスリンの構造異常を引き起こすことで、非典型的な糖尿病を誘発することを明らかにした。森教授は「今後オランザピンを投与する際には、血糖値などもモニタリングして、治療薬を切り替えるといった対応も必要になる」という。
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