2021.01.22 研究・成果
九州大学大学院薬学研究院薬理学分野の津田誠主幹教授、田島諒一大学院生(研究当時)、古賀啓祐大学院生、吉川優大学院生、新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科の八坂敏一教授らの研究グループは、ラットを使った実験で、脊髄の表層に局在するNPY神経細胞の活動が神経障害後に低下することを発見し、それがモルヒネも効きにくい神経障害性アロディニアの原因であることを世界で初めて明らかにした。津田教授は「神経活動を高める既存薬をライブラリーから見つけ、医師主導治験を進めたい」と話す。
多くの生物には、有害な刺激は痛覚信号として、触れるような刺激は触覚信号として、正確に伝達される。しかし、ガンや糖尿病、帯状疱疹、脳梗塞、手術後遺症、脊髄損傷などの後遺症として、抗炎症性解熱鎮痛剤などの一般的な薬では抑えることができない慢性疼痛(神経障害性疼痛)が発症することがある。原因は特定されていない。特に、皮膚に軽く触っただけで痛みが出るアロディニアは、モルヒネも効きにくい厄介な病気だ。
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