2021.12.17 大学等
東北大学大学院医学系研究科・医工学研究科の阿部高明教授
東北大学大学院医学系研究科・医工学研究科の阿部高明教授らが開発してきた新規化合物MA5(Mitochonic acid-5)は、既存薬とは異なる全く新しいメカニズムのミトコンドリア病治療薬として期待されている。MA5は、ミトコンドリア内部のひだのところにあるミトフィリンと結合することでATP合成酵素の重合を促進して、ATPの産生を促進する。実際、ミトコンドリア病患者由来の皮膚線維芽細胞にMA5を振りかけると細胞死を抑制し、ミトコンドリア病のモデルマウスでは心臓・腎臓の呼吸を改善し、生存率を上昇させた。またミトコンドリア病には、リー脳症、MELAS、レーバー病、カーンズセイヤー症候群があるが、ほとんどの患者由来細胞で効果があることを確認している。
今回、研究グループは、MA5を成人健常者(56人)に投与し、その安全性を確認する第1相臨床試験を来年1月から開始する。この試験により、MA5を人に対して投与したときの安全性、忍容性について、自覚症状、他覚所見、生理学的検査、臨床検査で検討する。また、血漿・糞尿中のMA5濃度、血漿中薬物動態パラメータ、尿中排泄率等で、薬物動態を評価する。
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