科学技術振興機構理事長の濵口道成氏
日本の研究の国際的地位は低下しており、トップ10%論文の国別順位は3年平均で10位、単年度で見るとトップ10から外れてしまった。企業の内部留保は増えているものの、新たな研究開発への投資は欧米と比べて進んでいない。一方、新型コロナウイルスの終息はいまだに見えてこない。こうした時代にどのように立ち向かっていくのか。新春インタビュー第2弾では、科学技術振興機構の濵口道成理事長にお話を伺った。
大学の活力が落ちている。資金の減少が要因の一つだが、もう一つの原因は若手のポテンシャルを十分に発揮できていない環境のためだ。
例えば、大学の30代の研究者で3年以上の海外経験者は5%しかいない。40代でも10%。21世紀はじめ、米国で博士号を取る日本人は200人くらいいたが、今は120人くらいに減少した。一方、中国は6000人、インド2000人、韓国2000人と増えている。日本人の若手研究者のDNAが変化して閉塞感のある閉じこもり状態の人ばかりになったのか。実はそうではない。創発的研究支援事業を始めてから2年で500人くらい選んでいるが、この人たちは3年以上の海外経験者が40%。
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