2023.04.21 研究・成果
CRISPR-Cas9は、あらゆる細胞の標的ゲノムを自在に編集することができる革新的な技術として、基礎研究を飛躍的に発展させ、また医療分野への応用も期待されている。しかし、従来法では過剰なゲノム切断によって目的以外のゲノム部位に対するオフターゲット変異や細胞毒性が誘導されるといったリスクを避けることができない。九州大学生体防御医学研究所の川又理樹助教、木村亮太さん(研究当時・大学院修士課程)、鈴木淳史教授、名古屋大学大学院医学系研究科の鈴木洋教授の共同研究グループは、ゲノム切断活性を自在に微調整できる新技術を開発し、安全性と正確な編集の効率を数百倍に高めることができる次世代型のゲノム編集プラットフォームの開発に成功した。川又助教は「この技術によって精密にDNAを切るか切らないかを制御できます。Cas9以外にも応用できることも確認しており、現在、米国でベンチャー(One Genomics, Inc.)を立ち上げて、実用化を進めています」と話す。
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