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2023.09.01 連載

【連載】AIと研究支援①                   研究者の半数がAIツール活用 現場のリアルな実態と課題

カクタス・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 湯浅誠

 

AI技術の進化は、多くの業種の業務効率改善に恩恵を与えています。アカデミアも例外ではなく、AIツールを利用する研究者の数は増えています。カクタス・コミュニケーションズが7月に発表した、969名の研究者を対象とした最新のアンケート調査から、研究者のAI利用の現状やその可能性、現在のAIの課題が見えてきました。

<研究者のAIツール利用に関する実態調査まとめ>
1.研究者の54%が、週に数回から毎日、AIツールを利用
2.AIツールの利用目的の1位は翻訳(78%)、2位は校正・校閲(64%)
3.有料でAIツールを利用する研究者の4割が「自腹で支払う」と回答

【調査概要】調査期間:2023年5月、対象:エディテージ会員の研究者969名、方法:アンケートフォーム自主回答形式

■調査結果の詳細
https://bit.ly/44n46Xm?r=qr

 

英語を克服する新しい武器としてのAI

アンケート結果から、研究者の2人に1人が日常的にAIツールを利用しており、その多くが英語論文執筆の際に翻訳、英文校正の用途でAIを利用していることがわかりました。英語論文の出版が分野を問わず、研究者評価に影響を与えるようになった昨今、英語に不安をもつ日本人研究者はますます増えているように感じます。英語が理由で論文が受理されない経験をしている人も多く、AIは論文執筆の場面で英語を克服する武器として、急速に活用され始めています。

AIに慎重な学術出版界:現場の研究者との乖離

一方で、主要な学術出版社やジャーナルは、AIツール、特に生成AIの利用に慎重な姿勢を示しています。サイエンス、ネイチャー、エルゼビアなどは、AIを著者として認めないこと、AIを利用した場合はその旨を論文に明記することなどをガイドラインに掲げました。研究者の研究活動を支えている我々の感覚からすると、こうした出版社の動向と、AIを使う研究者の実態にはかなり乖離がある印象を受けています。

生成AIを論文に利用するリスク

調査では、生成AIを論文に利用することへの懸念も指摘されました。最も大きなリスクは情報の不正確性と、情報漏洩、意図せぬ知的財産権の侵害です。AIが提案した誤った情報を文章に含めてしまう、論文に含まれた未発表の機密情報がAIに学習されてしまう、自動生成された文章に著作権を侵害する表現が含まれており、意図せぬ剽窃をしてしまう、といった不安が挙がりました。

「AIを自腹で購入」追いつかない支援

利用には多様な意見や課題がありますが、AIは研究者が英語を書く苦労を確実に軽減することは間違いありません。しかし、利用促進にはコストの問題があります。調査では有料版のAI利用者の4割が、所属研究機関からの支援や、AIに利用できる研究予算がなく、自腹で購入している状況も明らかになりました。研究コストや投稿費用の高騰もあり、便利だと分かっていてもAIツールを導入できない人も多くいるのです。

人間とAIの協働のベストバランス

私たちカクタスが提供する英語論文に特化したAI英文校正ツール「Paperpal(ペーパーパル)」では、情報セキュリティ、著作権侵害等の問題が起きない設計で、研究者が安心して利用できる環境を提供しています。また、有料でAIを利用する研究者の英文校正費用を下げられるよう、8月には新サービス「ポストAI英文校正」をリリースしました。AIと人間の協働による最適な論文執筆環境を提供するため、研究者を支援する企業として新しい提案を続けていきます。

 

■AI英文校正ツール「Paperpal(ペーパーパル)」
https://bit.ly/3QK2F1L?r=qr

■エディテージの「ポストAI英文校正」
https://bit.ly/3KL7sMS?r=qr

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