2024.03.01 研究・成果
幼いころの愛着形成は、情緒や社会性の発達の基礎となり、成長後の心の健康や対人関係にも重要な役割を果たす。幼少期に十分な愛着の形成ができないと、情緒の発達や周囲の人々との人間関係に困難を生じる愛着障害になる。その際、脳でどのような変化が起こっているのかはよくわかっていない。
東京工業大学生命理工学院の黒田公美教授と北海道大学の矢野(梨本)沙織助教、トリニティカレッジダブリンのアンナ・トルッツイ研究員、理化学研究所の篠塚一貴研究員(研究当時)らの国際共同研究グループは、小型のサル「コモン・マーモセット」の子が、家族の中で育てられる中で自立していく力を獲得し、一方で家族との関わりを妨げられると、人間でいう分離不安のような状態になることを明らかにした。マーモセットを人間の子育てと愛着の優れたモデルにすることで、将来的には、愛着形成の脳内メカニズムの解明や、幼少期の環境不全、虐待などに起因する社会性の問題(愛着障害)の理解や支援に貢献すると期待できる。
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