2024.09.20 研究・成果
がんが進行すると徐々にやせ細っていく。これは悪液質と呼ばれ、全身性の炎症に伴う筋肉の減少を特徴とする病態で、ほとんどの進行がん患者で見られる。ただし、その発症機序の解明は十分には進んでいない。東京薬科大学生命科学部の原田浩徳教授、立命館大学薬学部の林嘉宏教授らの研究チームは、がんの進行とともに通常ではみられない特殊な単球(白血球の一種)が出現しIL36Gというサイトカインを分泌して筋肉を減少させることを、世界で初めて同定し、Cachexia-inducible Monocyte(CiM)と名づけた。IL36Gのはたらきを阻害すると、さまざまな種類の進行がんマウスで悪液質の発症が抑制された。がん悪液質に有効な新しい治療法の開発につながることが期待される。
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