小児疾患の川崎病(KD)は、現在年間1万6000人が罹患する全身性血管炎です。私(粟屋昭・皮膚科学疫学研究所代表・医学博士)はKDをはじめ、アレルギー疾患や膠原病や皮膚疾患の中に、花粉飛散数増加に連動して患者数が増加する疾患が花粉症以外に多々あることに着目し、2002 年より花粉惹起(誘導)疾患(PID:Pollen-Induced Diseases)と名づけ、1991~2002年の神奈川県6000人のKD月別発症数と、花粉飛散数の交差相関解析と指数関数を用いたトレンド解析や回帰分析により、KDは被曝後平均21・4カ月で発症に到ることを明らかにし、KD発症時のBCG接種跡腫脹現象を考慮して、KDは花粉被曝に対する遅延型過敏反応であろうと主張してまいりました。
今回はの報告では、KD同様に全身性血管炎である高安病の難病情報センターの累積登録数の年次変動棒グラフの1984年部分に着目して、ジャンプを見抜いたことを端緒に、1979年に飛散増加が始まり、1982年の当時最大の花粉飛散に反応して高安病登録患者数が急増したのではないかと想定できること、次いで前年度からの登録患者増加数を折れ線グラフ化することにより、1984年の登録患者数の顕著・急速な増加ピークを如実に示すことができたと考えています。
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