2020.05.15 研究・成果
生ガキにあたってしまうと、その後、カキが食べられなくなるが、そのうちに食べられるようになることがある。カキに限らず、嫌いだった食べ物を、いつの間にか食べられるようになった経験は多くの人が体験しているだろう。味覚嫌悪学習によって、特定の食べ物を食べられなくなり、嫌な食記憶を消去する脳神経活動が生じるためだと考えられているが、こうした現象がどのような脳メカニズムで起こるのかは明らかになっていない。
大阪大学大学院歯学研究科の豊田博紀准教授は、マウスを使った実験で、味覚嫌悪記憶の消去に関わる脳メカニズムを明らかにした。
学習や記憶といった脳の機能は、関連する脳領域におけるシナプス伝達の可塑的な変化(シナプス可塑性)を伴うことがわかっている。味覚嫌悪学習においては、大脳皮質第一次味覚野におけるシナプス伝達の可塑的な変化が深く関わっていると考えられているが、そのシナプス可塑性の制御機構は、よく分かっていない。そこで豊田准教授らは、マウスの大脳皮質第一次味覚野において、抑制性シナプス可塑性の制御メカニズムを検討した。
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