2020.09.25 研究・成果
九州大学大学院農学研究院の久米篤教授は、岐阜大学応用生物科学部の石田仁准教授と富山県農林水産総合技術センター森林研究所が1998年からモニタリングしている富山県・立山のブナ・スギ林の森林動態データを解析し、大陸から輸送される大気汚染物質の減少が、大気汚染に敏感なブナと耐性のあるスギの種間関係を変化させ、ブナの競争力を高める重要な要因となっていることを明らかにした。中国からの大気汚染物質の輸送量が減少した期間は、ブナの成長が向上した一方、スギの成長はほとんど変化していなかった。
日本海を挟んで大陸に面した中部山岳地域は、中国や韓国から輸送される大気汚染物質の影響を受けている。大陸で排出された窒素酸化物や硫黄酸化物は、輸送されている間に硝酸ガスやオゾン、硫酸塩エアロゾル等に変化して日本に到達するが、これらの汚染物質は植物の成長に悪影響を及ぼすといわれている。
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