2024.08.30 研究・成果
東京大学大学院医学系研究科の塚崎雅之特任准教授、高柳広教授らの研究グループは、がん細胞の骨への近接に対し骨膜の細胞がプロテアーゼ阻害因子Timp1を産生することでコラーゲンの防御壁を形成し、物理的に腫瘍の骨への浸潤を阻害することを見いだし、非免疫系の細胞による全く新しい抗がん機構とその重要性を世界で初めて明らかにした。免疫チェックポイント阻害剤のような免疫系ではなく、非免疫系の新しい治療戦略の開発につながることが期待される。Natureに掲載された。
頭頸部がんのうち、90%以上が扁平上皮がんであり、発生部位として最も多いのが口腔粘膜だ。口腔粘膜は直下に骨組織(顎骨)が存在するユニークな粘膜バリア部位であり、口腔がんは骨浸潤を起こすことで患者の生命予後とQOLを顕著に悪化させる。しかしながら、口腔がん骨浸潤の分子メカニズムに関しては不明な点が多く、病態理解と有効な制御法の確立が急務となっている。
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