TOP > コラム・素領域一覧
科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。
ChatGPTの登場でいま生成AIが注目されているが、AIがサイバーセキュリティにどう影響するかという興味深いレポートが、昨年末の12月に発表された▼グローバルなサイバーセキュリティ企業であるカスペルスキーがまとめた年次レポートの一つ「サイバーセキュリティにおけるAIの影響」で、2024年以降にAIがサイバーセキュリティに与える影響を予測している▼それによると、組織のサイバーセキュリティを強化する…
顧みられない熱帯病(NTDs:Neglected Tropical Disease)は公衆衛生管理が困難な主に熱帯の貧困地域に蔓延する疾患群で、WHOによれば世界で10億人が罹患し、16億人が介入を必要としている▼3大感染症(エイズ、マラリア、結核)と比べて世界から関心が向けられず十分な対策がとられてこなかったが、1997年のG8北海道洞爺湖首脳宣言を経て、大きくは2015年の国連サミットでSDG…
1日1日午後4時10分頃、石川県能登地方をマグニチュード7・6、最大震度7の地震が襲った。お亡くなりになった方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々には心からお見舞い申し上げます▼国内で震度7を観測したのは、2018年の北海道胆振東部地震以来で、同じ震度7を観測している熊本地震、東北地方太平洋沖地震、新潟県中越地震などでも大きな被害が出ていることからも、地震の大きさがわかる▼防災科学…
新たな年が明け、2024年が始まる。21世紀に入って早くもほぼ四半世紀が過ぎたことになる▼年始には明るい願いをと思うが、昨今の国内・国際情勢を考えるとどうもそうはいかない。長引いたコロナウイルス感染は5類感染症扱いになり、制限されていた日常生活もようやく従来に戻りつつある▼しかし、景気は相変わらず。年末には自民党内の政治資金規正法違反事件が発覚して政治の混乱を招いている。物流業界の2024年問題な…
「ブックサンタ」をご存じですか? 書店等に「あなたが選んだ本を、サンタクロースが全国の子供たちに届けます」というポスターが貼られているのを見たことがある方もいるかもしれない▼「ブックサンタ」はNPO法人チャリティーサンタが進める、全国の困窮家庭や児童福祉施設等の子供たちに本を贈ることを目的とした社会貢献プロジェクトで、2017年に書店と連携して開始された。提携書店で贈りたい本を買ってその書店に預け…
日本学術会議の臨時総会が9日に開かれ、声明「日本学術会議のより良い役割発揮に向けた基本的考え方-自由な発想を活かした、しなやかな発展のための協議に向けて-」が採択された▼現在、政府の有識者懇談会で学術会議がその機能を発揮するために必要な制度改革案が議論されている。そこで内閣府が示した法人化案について、5つの条件をクリアしなければ、法人化には反対するというのが今回の声明の要旨だ▼法定事項は最低限にし…
KDDIは、先月11月23日で国際衛星通信開始から60周年を迎えた。それによれば、日本の衛星通信は1963年11月23日の日米間テレビ衛星中継の実験で幕を開けた▼リレー衛星を用いたこの衛星通信実験の成功で、それまで短波無線が主流の国際通信は新しい時代を迎えることになった。ところが、この画期的な実験で送られてきたのは、なんとケネディ大統領暗殺のニュースだった▼早朝のテレビニュースで、そのショッキング…
空気が乾燥する冬の12月から、春先の3月~4月まで続く火災が起こりやすい期間に突入する。毎年3月が最多となる▼東京消防庁の令和4年版「火災の実態」によれば平成4年から令和3年までの30年間の火災件数は、平成9年の約7千件をピークに減少傾向にあり、令和3年には約4千件まで減少。同庁が統計を開始した昭和35年以降で最も少なかったのは令和2年の約3700件。発生件数自体は平成27年頃から横ばい状態にある…
ムーンショット型研究開発制度は、2050年に実現すべき社会を目標として掲げ、破壊的イノベーションを実現するため、失敗を許容し、研究者が長期的な視点で挑戦的な課題に挑戦できることをうたった大型の研究プログラムだ▼しかし、現場の研究者からは「進捗管理が厳しい」「自由に挑戦的な研究ができない」といった、破壊的イノベーションにつながる創造的な仕事ができる環境ではないのではないかという声が多く聞かれる▼破壊…
11月は「テレワーク月間」である。インターネットが普及して、無線LAN(Wi-Fi)などの環境整備も進み、パソコンとスマホなどで、どこにいても仕事ができる時代になった▼また新型コロナウイルスによる感染拡大が長引いたことも、テレワーク利用を後押しした。しかし、最近は感染者数が減り続けており、通勤・通学、遊び・観光などで外出する人たちの数は以前よりずっと増えてきているようだ▼では、テレワーク利用につい…
今年の夏は過去126年で最も暑かったという気象庁の報告があったが、季節はやっと秋を迎えている▼日本気象協会が11月1日に発表した紅葉見頃予想によれば、これから色づきはゆっくり進み、例年より遅いか平年並みに見頃を迎えるようだ。東海地方、近畿地方、九州地方の一部が平年並みで、それ以外は遅くなる見込みだという▼桜前線とは逆に北から南下していくのだが、日ごとの実際の紅葉の色づき具合が、カエデ類が色づいた場…
転ばぬ先の杖。前もって準備しておけば物事で失敗することがないというたとえだが、近年の政策を見ていると、どうも、この言葉を忘れてしまっているようだ▼国立大学が法人化して以降、運営費交付金が減少したことで、各研究室に配分される校費は大幅に減ってしまった。財務省は、競争的資金などが増えたことで国立大学自体の事業費は増えているのだから、経営努力が足りないと以前から主張しているが、実は、国立から法人になった…
人類に貢献すべき科学技術が、いま非常に危うい気がしてならない。最先端の半導体技術や光技術、宇宙・航空技術、情報通信技術、そして核技術などが盛んに軍事やテロ活動に使われている▼デュアルユースというが、近年は平和利用の側面は影が薄い。例えばIT技術の進歩でインターネットが発展したが、その技術はサイバー攻撃などに悪用され、日常生活における情報通信インフラの便利な利用を脅かしている▼宇宙・航空技術はミサイ…
春の花粉症はスギやヒノキの花粉が原因だが、秋の花粉症は主にイネ科、ブタクサ属、ヨモギ属、カナムグラといったいわゆる雑草の花粉を原因としている。東京都は都内の主要な花粉の観測を継続し、1月上旬から5月中旬まではスギ・ヒノキ花粉、5月下旬から11月下旬までは前述した雑草の花粉を測定。東京都保健医療局のサイトで公開している▼政府は今月10日に「花粉症対策初期集中対応パッケージ」を公開したが、これはスギ花…
2023年ノーベル化学賞の受賞内容が事前に漏れた。現地時間の午前7時、王立科学アカデミーから地元メディアに一斉メールが配信され、そこには授賞対象が量子ドットであることや受賞者3人の氏名などが記載されていた。当初、午前10時にノーベル化学委員会が開かれ正式決定し、午前11時45分に発表される予定だったのだが、事前に地元の有力紙、ダーゲンス・ニュヘテル紙などが速報として報じた▼受賞者の情報が事前に報じ…
米国はデジタル先進国なので、仕事に紙を使うことは少ないのかと思っていたら、そうでもないらしい。ICTの業界団体である情報通信ネットワーク産業協会が公表した米国におけるファクシミリの利用調査結果が興味深い▼有職者を対象に業務での利用状況を調査した結果で、それによると7割の人がいまでもファクシミリを利用しており、紙ベースのワークフローになっているという▼この結果は、同じく同協会が先だって公表した日本で…
イグ・ノーベル賞の授賞式が9月14日にオンラインで開催され、今年も日本人の受賞者が誕生した。Annals of Improbable Research誌の編集長であるマーク・エイブラハム氏によって1991年に創設された。「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に対し複数部門で賞が毎年贈られて、今年が第33回目▼今年は栄養学賞が明治大学の宮下芳明氏(総合数理学部教授)と中村裕美氏(研究当時大学院生、現…
先日、知り合いから「(長年勤めてきた)会社を辞めることにした」という電話がかかってきた。退職金の積み増し分があったこと、3日間にわたる圧迫面接で疲れたこと、やりがいがなくなったこと、というのが主な理由だ▼最近では、様々な研修を行う会社は増えてきたが、再就職のためのキャリアサポートは、退職を決めた人に、再就職先を紹介する程度だ。ただし、これは正社員に限られる。契約社員や派遣社員の場合、普段からの研修…
今年は1923年(大正12年)9月1日の関東大震災から100年ということで、テレビや新聞、雑誌など多くのメディアで様々な特集が組まれた▼大震災直後の東京の様子が撮影された何本ものフィルムによる記録映像が8K映像として高精細化・カラー化され、TV放送されたNHKのスペシャル番組を見た▼崩壊した建物や地震後の大火災で亡くなった人たちの焼死体、家財道具を大八車に満載して火事から避難しようとする大勢の人々…
9月8日は国際識字デー。1965年にユネスコによって宣言されたもので、尊厳と人権としての識字の重要性を周知し、識字率向上を目指し制定された▼ユネスコによれば世界は進歩し続けているにも関わらず、2020年時点の世界で少なくとも約7・6億人が識字能力を身につけていない。教育格差から男性より女性の識字率が低い。近年のコロナ禍や世界情勢の変化、気候変動でその問題はより深刻化し、低・中所得の国々では簡単な文…
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