モズは、捕らえた獲物をなわばり内の木々の枝先などに突き刺して「はやにえ」を作ることが知られているが、はやにえの機能は長い間謎だった。大阪市立大学大学院理学研究科の西田有佑特任講師は、北海道大学大学院理学研究院の高木昌興教授との共同研究で、モズのオスは非繁殖期にのみはやにえを作り、そのはやにえを繁殖期が始まるまでにほとんど食べ尽くすことを発見した。さらに、はやにえの消費量に応じて繁殖期におけるオスの歌の質が高くなり、その結果、オスはメスから強く好まれるようになることを野外観察と操作実験から明らかにした。つまり、はやにえは、メスの獲得で重要な歌の質を高めるための栄養食だった。餌をなわばり内に貯える「貯食行動」は、様々な動物でも見られるが、貯えた餌の消費がオスの性的な魅力を高める効果をもつことが実証したのは世界で初めて。
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