2021.12.03 研究・成果
成体の哺乳動物では再生しないと言われている聴神経だが、九州大学の研究グループは、傷害を受けた成体マウスの内耳において、少数の新しいニューロンが出現することを発見し、その数を増殖因子とバルプロ酸の同時投与により著しく増やすことに成功、その結果、一度失われた聴力が回復することを発見した。九州大学大学院医系学府の脇園貴裕大学院生(研究当時)、安井徹郎特別研究員(同)、中嶋秀行助教、中島欽一教授らの研究グループによる成果で、JCI insightに掲載された。中島教授は「今回は処置後35日までしか見ていないが、長期的な影響やシュワン細胞がニューロンへと変化するメカニズムの解明など、取り組むべき課題は多い。基礎的な研究を重ねて、大型動物や非ヒト霊長類などを用いた治療効果の検討まで進め、臨床への可能性を探っていきたい」と話している。
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