2022.01.21 研究・成果
細胞膜を構成するリン脂質ホスホイノシタイドの代謝異常が生じると、ガンや神経変性疾患、アレルギー、代謝異常など、多様な疾患につながることが知られているが、これまでヒトや実験動物のホスホイノシタイドは測定できなかった。東京医科歯科大学難治疾患研究所の森岡真技術補佐員、山本利義技術補佐員、佐々木純子准教授、佐々木雄彦教授の研究グループは、秋田大学、神戸大学、愛知県がんセンターとの共同研究で、ホスホイノシタイドの包括解析法PRMC-MSを世界で初めて開発した。また、ガン特有のホスホイノシタイドのバリアント構成や細胞外に放出されるホスホイノシタイドが存在することも明らかにした。佐々木教授は「バリアント構成が疾患の予後や薬剤感受性の予測に使えることもわかってきています。将来的には、ホスホイノシタイドを標的とした治療法や診断技術の開発につなげていきたい」と話している。Nature Communicationsオンライン版に掲載された。
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