2022.11.25 研究・成果
九州大学大学院工学研究院の戸田裕之主幹教授
高強度アルミニウム合金は、航空機や新幹線、ロケットなどで使われているが、水素が入り込むことで強度や延性が低下する水素脆化によって壊れやすくなり、また長期間の使用で応力腐食割れなどが起こってしまう。
九州大学大学院工学研究院の戸田裕之主幹教授、ワンヤフェイ特任助教、岩手大学の清水一行助教らは、原子レベルのシミュレーションを行い、これまで実用では使われていなかったナノ粒子(Tナノ粒子)が、内部に水素を強力かつ大量に吸蔵できることを発見した。また、現在アルミニウムの強化のために用いられているηナノ粒子の一部をTナノ粒子に置き換えることで、水素脆化などが防止できた。戸田教授は「これまでTナノ粒子は実用レベルでは全く注目されていませんでした。アルミニウム製造工程の時効処理の温度を少し上げるだけでηナノ粒子の約半分をTナノ粒子に置き換えることができるので、産業レベルで活用できると思います」と話す。
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