2024.09.27 研究・成果
熱から電気を生み出す熱電変換素子には、ゼーベック効果が使われているが、ある程度の温度勾配が必要なため用途が限られている。九州大学、九州先端科学技術研究所(ISIT)、フランス国立科学研究センター(CNRS)、GCEインスティチュートの研究グループは、有機電荷移動(CT)錯体を活用した新しい発電機構に基づく有機熱電デバイスの開発に成功した。室温程度の熱から電気を取り出すことができることや理論上大面積化が可能なことから、全く新しい発電システムの実現につながるものと期待される。安達千波矢教授は「電圧は0・4ボルト程度出ています。電流はマイクロアンペア/平方㌢㍍以下ですが、大面積にすれば、いくらでも電力は取り出せる可能性があります。フレキシブル、大面積化で発電する壁紙や洋服など面白いデバイスができるかもしれません。まだメカニズムが不透明な部分も多く、今後、メカニズムの正確な理解と共に、性能向上を進めていきたい」と話す。
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