バイオ医薬で世界に遅れをとりつつある日本の創薬産業の発展へ向けて、まだ世界でも開発が進んでいない中分子創薬で世界をリードしようと、東京工業大学(以下、東工大)の研究チームが、中分子IT創薬プロジェクトの活動を本格化させている。今年3月には、世界的な中分子創薬産業のハブを構築するため、プロジェクトの活動拠点の1つを川崎の殿町国際戦略拠点キングスカイフロントに開設して活動を開始した。世界の医薬品市場における創薬開発では、従来の低分子医薬品からバイオ医薬品への転換が進んでおり、抗体医薬品などの高分子医薬品の開発が盛んになっている。それに比べ、ペプチドなどに代表される中分子医薬品はまだ開発が進んでいない分野だ。バイオ創薬で海外に後れをとっている日本としては、中分子創薬で主導権を握りたいところであり、GPUスパコンTSUBAME3・0などのITインフラと情報科学を駆使した、この中分子創薬プロジェクトの展開が注目される。
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