2025.03.21 研究・成果
國﨑祐哉教授
CAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞治療は、非常に効果の高いがん治療法の一つだが、副作用として、脳神経障害につながるICANS(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群)が課題になっている。九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野の國﨑祐哉教授、九州大学病院検査部の野見山倫子博士、瀬戸山大樹助教、血液腫瘍心血管内科の加藤光次准教授らの研究チームは、治療前の髄液タンパク質検査でICANSの発症リスクを予測するバイオマーカーの開発に成功した。國﨑教授は「臨床検査部に整備した質量分析プラットフォームを活用することで、微量のタンパク質の組み合わせの変化を捉えることができました。今後、一般生化学測定法や簡易検査キットへの応用につなげていきたい。また、補体標的薬がICANSの予防や治療に効果がある可能性が示唆されたので、予防薬や治療薬の開発につなげるための取り組みをはじめた」と話す。
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