2020.12.11 研究・成果
柳田国男がその著書『海上の道』で述べているように、日本人の祖先は、南から黒潮に乗って漂流してきたのだろうか。東京大学総合研究博物館の海部陽介教授、国立科学博物館の久保田好美研究員、国立台湾大学海洋研究所の詹森教授らの日台共同研究グループは、漂流ブイのデータを使って綿密な検討を行い、漂流説を強く否定する結果を得た。
日本列島の人類史は、大陸から海を渡ってきた後期旧石器時代の人々によって、3万8000年前頃に幕を開けた。そうした中で、3万5000~3万年前には、琉球列島の全域に人が拡散している。当時の人々は島に偶然漂着したのか、それとも島を目指して航海したのか。これを明らかにするためには、漂着の確率を算出する必要があり、人類学者はその方法について長い間悩んできた。
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