2021.02.05 研究・成果
漢字を書く能力が高い人ほど、結果的に文章作成能力が高くなる。また、そうした能力を高めることで認知症予防につながる。京都大学大学院医学研究科の大塚貞男特定助教、村井俊哉教授の研究グループは、読み書き能力の多面性に着目し、複数の大学から募集した大学生の漢字の読み、書き、意味理解の能力と、基礎的な認知能力、言語的知識の習得度、文章作成能力との関係性について解析した。その結果、漢字能力の3側面(読字、書字、意味理解)の中で書字の習得だけが、言語的知識の習得を介して文章作成能力と関連していることがわかった。修道女の認知能力の長期経過を分析したナン・スタディでは、20代前半に文章作成能力の指標「意味密度」の得点が高かった人は老年期における認知予備能が高く、晩年まで健全な認知能力を維持していたことが報告されている。今回の研究では、そうした知見を考慮に入れて、学童期の読み書き習得(特に手書きの習得)から老年期の認知能力維持に至る生涯軌道に関する理論的フレームワークを提唱した。
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